システム保守費用の相場や内訳|依頼費用を抑えるポイントも解説

自社のITサービスがスケールすると、障害対応をはじめとしたシステム保守の強化の検討が必要になります。しかし、費用がどの程度かかるのか把握していない場合、まずはシステム保守の費用相場を把握してから検討したいと人もいるでしょう。
そこで本記事では、システム保守費用の相場や内訳などについて解説します。システム保守費用を抑えるポイントも解説するため、ぜひ参考にしてください。
システム保守とは
システム保守とは、開発したシステムを正常に稼働し続けられるようメンテナンスや改修、障害解決などを行うことです。顧客に安定したサービスを提供したり、ビジネス機会の損失を避けたりする際にシステム保守は必要不可欠です。
システム保守の方法
システム保守には、一体どのような方法があるのでしょうか。それぞれのメリットとデメリットも、あわせて解説します。
自社のリソースでシステム保守を行う
システム保守を自社のリソースで行えば、外注コストの削減や対応スピードの迅速化が期待できます。しかし、社内にシステム保守の技術を持った人材がいない、もしくは不足している場合、技術者の教育が必要になり手間がかかります。また、修理に必要なパーツの調達が難しいなどのデメリットもあるでしょう。
システム保守に強い会社に依頼する
システム保守・運用の支援サービスを行っているシステム開発会社などにシステム保守を依頼します。システム保守を専門に扱っているため、社外のリソースや専門知識・ノウハウを利用できるでしょう。一方で、社外に任せてしまうために、社内にシステム保守のスキルやノウハウが、蓄積されないというデメリットがあります。
【種類別】システム保守費用の相場
システム保守にはいくつかの種類があり、何を行うかによって相場が変わるため、それぞれについて詳しく解説します。
以下に、記載している相場は、実際の相場と異なる場合があります。そのため、本記事の観点を参考に適正な保守スコープと業者を、選ぶとよいでしょう。
‐予防保守
予防保守とは、システム障害の点検や整備を定期的に実施することを指します。予防保守は、システムに不具合が出ることを未然に防いだり、問題を早期発見したりするために重要な保守です。予防保守は、システムの監視やバックアップの作成、セキュリティパッチの適用などの業務が該当し、費用の目安は開発費用の約5%とされています。
‐改善保守
改善保守とは、すでに運用しているシステムの機能や性能を向上させ、よりよいシステムに改善させることです。具体的には、ハードウェアの増設やソフトウェアのバージョンアップ、UIの改修などの業務がこれに該当します。なお、費用の目安は開発費用の10〜30%です。
‐適応保守
適応保守は法改正や技術の進歩、業務環境などの変化に対応するために、既存のシステムを調整する作業のことです。これに該当する業務は、税制改正に対応するための会計システムの改修、モバイルに対応するためのレスポンシブデザイン導入などがあげられます。なお、費用の目安は開発費用の20〜50%です。
‐訂正保守
訂正保守とは、既存のシステムの不具合やバグの修正業務です。セキュリティホールの解消や画面デザインの修正などの業務が、これに該当します。訂正保守は、急なトラブルにより突発的に起こる場合があるため、柔軟に対応できる体制づくりも重要でしょう。費用の目安は、不具合の内容により異なりますが数万円から数百万円が相場です。
‐障害対応
障害対応は、システム障害の監視をしたり、障害が発生した際の一次対応をしたりすることです。障害発生時の対応に集中した保守作業で、必要な費用の目安はシステム構築費用の10〜15%ほどでしょう。
システム保守費用の内訳
システム保守にはさまざまな費用がかかります。高いものでは数百万円だったり、システム開発費用の半分ほどかかったりする可能性があります。それでは、一体どのようなことに費用が必要なのでしょうか。
・人件費
人件費とは、システム保守担当者への給与や福利厚生の費用、研修コストなどです。担当者のスキルや経験によって必要な研修が異なったり、システムの規模によって必要な人員が異なったりするため、費用は内容により変動します。
・機器費
機器費は、ストレージ装置やネットワーク機器・サーバーなど、システムを構成する物理機器の購入・レンタル・メーカー保守の費用です。機器の再購入は、機器の老朽化への対応や障害発生時の修理の際に必要になる場合があります。
・ソフトウェアライセンス費
システムを構成するソフトウェアのライセンス費用も、システム保守には必要です。これにはアンチウイルスソフトや監視ツールも含まれ、ソフトウェアによって料金体系が異なるため必要なコストはまちまちです。
・サービス委託費
サービス委託費は、サイト運営やマーケティング、問い合わせ対応などのシステム保守に必要な業務を社内で対応せず、一部を専門業者に委託する場合にかかります。委託した業務内容や、自社と専門企業の業務分担によって費用が異なるのもポイントです。
・その他の費用
上記のほかにも、システム稼働に必要な通信費、電気代などもシステム保守に必要な費用といえるでしょう。それぞれは少額ですが、全体としては大きな出費になるため、予算へ組み込んでおかないと利益に影響する可能性もあります。
システム保守費用に影響する要素
システム保守に必要な費用は、システム内容によって大きく異なります。以下では、具体的にどのような項目の内容により費用が変わってくるのかを解説します。
システムの規模
使用しているサーバー数やシステムの利用者数、データ量などが多いと、保守作業の工数は増えます。そのため、システム規模が大きいほど保守費用が高くなります。
システムの複雑さ
システムが複雑であるほど、保守作業の難易度も上がります。そのため、保守にも高度な技術力と多くの工数が必要になるでしょう。また、高度な技術や専門知識を要する人材の確保や、高価なライセンス購入などによっても、保守費用が増えます。
システムの稼働時間
システムの稼働時間によっても、保守コストは異なります。例えば、24時間365日停止しないシステムの場合、システム保守は人件費のかかる深夜や休日に行う必要があるからです。また、回線や機器の予備の用意などにもコストがかかるでしょう。
システム保守費用の細かい管理なら「適正稼働率試算法」が便利
システム保守の費用を細かく管理したい場合には「適正稼働率」を算出します。適正稼働率から、費用の妥当性をチェックできるため、システム保守を専門企業に依頼するケースでも役立つでしょう。
システム保守費用の妥当性を判断する指標例
システム保守にかかる費用の妥当性は、次の4項目で判断するとよいでしょう。
①即答率
即答件数を相談件数で割った値を「即答率」といいます。また、相談して回答が返ってくるスピードや、きちんと相談した内容が解決したかどうかも、保守費用の妥当性の判断基準になるため抑えておきましょう。
②引受率
相談数に対して対応してもらえた確率を指すのが「引受率」です。対応してもらいたいことを引き受けてもらえたかどうかも、保守にとって重要な項目になります。こちらは、引受件数を相談件数で割ることで算出できます。
③保守時間達成率
実績時間を見積時間で割った値を「保守時間達成率」といい、想定していた時間で対応できたかどうかで予算内に保守対応が収まったのかどうかを判断可能です。もし、想定より時間がかかってしまい保守時間達成率が低くなると、予算が圧迫される場合もあります。
④納期内完了率
納期が守られた割合を示す値を「納期内完了率」といいます。これは納期達成件数を引受件数で割って出すことのできる数値です。
システム保守の依頼費用を抑えるポイント
予算にこだわるあまり、必要な保守対応ができなくなるのは本末転倒ですが、できるだけコストを抑えたいと考える企業は多いでしょう。そこで費用の抑え方のポイントを解説します。
依頼範囲を明確にする
専門家にお願いした方が安心だからと不要なサービスまでアウトソーシングしてしまうと、費用に無駄が生じてしまいます。業務の範囲を明確にして、どこまでを社内対応し、どこまでを依頼するのかを定め、必要なサービスだけ依頼するようにしましょう。
複数社に見積もりを依頼する
システム保守の費用は企業によって異なります。そのためシステム保守を専門企業に依頼する際は、複数のアウトソーシング先へ見積書の作成を依頼し、比較・検討して自社に適したサービスを選ぶとよいでしょう。
定期的に依頼内容の見直しをする
社内の状況が変化すると、アウトソーシングした方がよい業務も変化していきます。半年や1年間隔でアウトソーシングの内容を見直し、自社で対応できるようになった業務を内製に切り替えることでコスト削減にもつながります。
まとめ
システム保守は、外部に依頼すると教育や人材採用の手間をかけずに、専門知識を有した人員による対応ができるようになります。さらにシステム保守を外部に任せれば、空いた時間をコア業務にあてたり、今まで手付かずだった業務やプロジェクトを進めたりすることも、実現可能です。
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