バックオフィスのDX化が注目される理由、DXを成功させるための情シスの役割とは?

コロナ禍を経験して「業務の課題が見えてきた」という方も多いのではないでしょうか。特にバックオフィスのようなコスト部門は煩雑な作業も多く、働く人に負担がかかっています。そこでこうした仕事を部分的にではなく、根本的に変革をしていくDXの取り組みが注目されています。

人材不足を解消するために、バックオフィスのDX化に注目

今、日本では深刻な人材不足という課題に直面しています。帝国データバンクが2022年2月24日に公表した「人手不足に対する企業の動向調査によると、「正社員が不足している」と感じる企業は47.8%となっています。長期的に見ても日本の人口は、2018年に約1億2千人でしたが、2065年には約8千8百人にまで減少します。コロナ禍で一時的に業務量が減ったことで、人手不足感はひとまず落ち着いたと言われていますが、将来的には人材不足感がますます強まるでしょう。

そのような状況の中、企業では直接は売上を生み出さないバックオフィスのリソースを減らしてビジネス部門に振り分けるようになってきています。そのためバックオフィス部門では人が少しずつ減っていくにもかかわらず、仕事は減らないため、働く人の負担が増えています。特にバックオフィス部門では、間違えてはいけない事務処理も多く、ストレスにさらされることも多いものです。請求処理のように短い期間に負荷が集中することもあります。

そうしたバックオフィス部門で働く人の負担を減らし、生き生きと仕事ができるための方法として、テクノロジーを活用して業務を改革する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の取り組みが注目されています。

バックオフィスDX化のメリット

バックオフィスをDX化するメリットは人材不足の解消だけではありません。次のような様々なメリットがあります。
・効率化
日々当たり前のようにこなしている仕事にも、実は無駄な作業、非効率な作業が含まれているかもしれません。根本的に仕事のやり方を変えることで、今まで気づかなかった作業の無駄が解消されます。
・コスト削減
例えば請求処理は月末に集中するため、今までは担当者が夜遅くまで残業していたケースも多かったのではないでしょうか。DX化によって働く時間が平準化でき、プライベートを犠牲にしなくて済みます。その結果として残業代の減少によるコスト削減につながります。
・脱属人化
DXでは現状の業務の洗い出しが必要になります。その過程で全ての業務の手順が明らかなになるため、「○○さんでないとわからない」といった属人化した処理がなくなります。
・テレワーク
今までバックオフィス部門は社内で仕事をすることが前提となっていることが多く、デジタル化が進んでいない部分もありました。デジタルツールを活用することで、様々な業務がデジタル化され、社外でも業務できるようになります。
・働きやすいさが向上
DXに取り組む企業からは「DXに取り組んだことで、働く人が前向きになった」という声がよく聞かれます。DXの過程では無駄な作業をどのように解消していくのか、みんなでアイデアを出し合う機会が多くなります。自分のアイデア次第で仕事が楽になるため、意見交換が活発になることが期待できます。

バックオフィスのDX化を推進するためのポイント

バックオフィスをDX化するためにはどのようなポイントが必要となるのでしょうか。
・トップダウンにより部門横断で取り組む
DXでは複数の部門にまたがる業務の改革が必要です。しかし、各部門ではそれぞれKPIが異なることもあり、ボトムアップで連携するのは困難です。トップダウンで進めることで「DXを何としても進めよう」という推進力が生まれます。
・現状の業務の見える化
日次、週次、月次、年次といったタイミングで行われる現状の業務プロセスを洗い出し、それぞれの業務にどのくらいの時間をかけているか見える化することが、大切なポイントとなります。
・課題の抽出と優先順位付け
現状の業務が可視化されると、無駄な作業や省略できる作業が見えてきます。ペーパーレス化されていない業務、ミスの多い業務、短期間に負荷が集中する業務を中心にチェックすると、今まで当たり前と思ってきた仕事にも非効率な面があるという気づきがあるかもしれません。解決したらどのくらいの効率化が見込めるかを定量的に判断して優先順位をつけていきます。
・クラウドサービスの検討
クラウドサービスはインターネット経由で利用できるため、デジタル化の実現だけでなくテレワークなど新たな働き方に柔軟に対応できます。クラウドサービスのコストに見合う業務の効率化が図れるのか、洗い出した作業時間を元に検討する必要があります。

バックオフィスのDX化に活用したいデジタルツールとは

バックオフィスのDX化を推進するためには、デジタルツールの活用が欠かせません。バックオフィスのDX化として多くの会社で活用されているデジタルツールをご紹介します。
・ワークフロー
コロナ禍でテレワークが普及しましたが、承認プロセスを紙で処理しているために、出社しなければならない「ハンコ出社」が話題になりました。承認プロセスをデジタル化することで、自宅や外出先でも処理ができるだけでなく、途中経過が可視化されるため、承認もれを防ぎます。
・RPA
RPAは手作業で行うシステム入力作業を自動化できるソフトウェアロボットです。システム化しても費用対効果が見込めないため、やむなく手作業で行っている業務も意外に多いものです。そのような業務にRPAは役に立ちます。例えば請求書の情報を販売管理システムに入力した後に、会計システムにも入力している、といった二重入力もRPAであれば柔軟に自動化できます。
・チャットボット
バックオフィスでは社内からの問い合わせ対応にも時間を取られます。よくある質問をチャットボットで対応するだけでも、かかる労力は激減するのではないでしょうか。問い合わせする側も時間を問わずに気軽に問い合わせられるため、利便性が向上します。

DXを成功させるための情シスの役割とは?

デジタルツールを使いこなし、DXを推進するためには、情報システム部門の力が必要となります。情報システム部門には次のような役割を担うことが考えられます。
・部門横断プロジェクトの推進
縦割り型の組織がDXを阻む壁と言われています。そのため情報システム部門の声かけで部門横断プロジェクトを立ち上げるのもひとつの方法です。部門横断組織は各部門からメンバーを選出し、メンバーが部門に情報を持ち帰って共有するエバンジェリストの役目を果たします。メンバーが自発的に自部門に広めてくれるため、デジタルツールが普及しやすいという効果もあります。
・活用方法の開拓・共有
デジタルツールは使いこなさないと、メリットを引き出すことができません。各部門の課題をヒアリングしながらどのような使い方が効果的なのかを研究し、知見を共有する必要があります。こうした仕事は日ごろからデジタルツールの導入に取り組む情報システム部門が得意とするところです。
・技術検証
デジタルツールがバックオフィスで本当に使いこなせるものなのかは事前に検証する必要があります。各部門が業務とのギャップを検証するだけではなく、情報システム部門の技術面からの検証も必要です。現時点でのバックオフィス部門のITリテラシーで迷わず操作できるようなUIになっているか、自社のセキュリティ・ポリシーに反する仕様になっていないかを検証する必要があります。
・導入計画の策定
クラウドサービスの場合、まず人数を限定してパイロット導入し、その後少しずつ利用する部門を拡大していくのが一般的です。どのような形で進めていけばよいか判断し具体的な導入計画を策定する役割は、情報システム部門が担うと効果的です。
・IT統制
DX化するには、各部門が自発的にデジタルツールを活用していくことが求められますが、望ましくない使い方、ルールに違反した使い方をすると、セキュリティ事故につながる恐れがあります。安全に利用するためにルールを策定・徹底するのは情報システム部門だからこそできると言えるでしょう。

負担が増える情シス、見える化が必要

これまで見てきた通り、バックオフィスのDX化には情報システム部門の果たす役割が大きいのですが、情報システム部門は限られた人数で担当しているケースも多く、負担は増えるばかりです。それに加えて情シスの性質上、運用監視やトラブル対応という他の部門が一見して理解できないような技術的な内容や、他部門からのサポート対応が多く、外から見て何をやっているのか、どのくらいの負荷がかかっているのかわかりづらいという問題があります。

そこでバックオフィスのDX化の取り組みと同じように、情報システム部門についても「誰が」「どんな仕事を」「何時間」やっているのか、現状を見える化していく必要があるでしょう。日々の仕事を定量化できると経営層へどれだけ負荷がかかっているかを説明する際にも納得してもらいやすいだけでなく、どの仕事を効率化したらよいか、どの仕事をアウトソースすればよいかが見えてきます。さらに一歩進んで定量化が評価につながるような仕組みづくりができれば、見える化に対するモチベーションも高まります。

社内ヘルプデスクをアウトソーシングする方法も

情報システム部門の中で、アウトソーシングしやすい領域は社内ヘルプデスク対応でしょう。総務部門、人事部門など他のバックオフィス部門の問い合わせと合わせてアウトソーシングすれば、費用対効果も高まります。

社内ヘルプデスクには定型作業が多いもの。そうした作業を極力排除し、DXの推進など戦略的な取り組みに注力することが求められています。コストとのバランスを考慮して、効果的なアウトソーシングを実現していきましょう。

この記事の著者

アバター画像
ReSM(リズム)サービス担当者
ReSMサービスはシステム運用の「 {re} design 」をコンセプトに、 「最適な運用」を「最適な価格」でご提供するマネージド・サービス・プロバイダーです。 クラウドの導入支援から安心の運用監視・保守までをトータルでご提案できます。

お問い合わせ

依頼内容に迷っているときは、課題の整理からお手伝いします。
まずはお悩みをご相談ください。

  • システム運用監視・保守サービスReSM(リズム)ご紹介資料

    クラウドの導入から24時間365日のシステム運用監視まで、ITシステムのインフラをトータルでサポートするReSM(リズム)サービスについて詳しく説明します。

  • 4つのポイントで学ぶ「失敗しないベンダー選び」

    運用アウトソーシングを成功させる第一歩は、サービスベンダーの選択です。この資料ではサービスベンダーを選択するポイントを4つ紹介します。

お電話でのお問い合わせも
受け付けています。

03-6914-5215 平日 9:00 - 17:00
03-6914-5215 平日 9:00 - 17:00