社内で活用するFAQシステムの比較ポイントは?失敗しないFAQシステムの選び方。

「デジタルツールを導入したが、効果がない…」「全社で使って欲しいのに、特定の部門だけ使ってくれない…」という場合、もしかしたら社員のITリテラシーに問題があるのかもしれません。現在のデジタル社会ではITリテラシーを高めることは避けて通れません。とはいえ社員の年齢層も幅広く、デジタルに苦手意識を持っていたり、正しい使い方を理解していない人がいるのも事実。サポートに労力をかけずに社員が迷いなくツールを使えるようになるための方法として最近注目されているのが「FAQシステム」です。FAQシステムにはどのようなメリットがあるのかご紹介します。

社内向けにも導入が進んでいる「FAQシステム」とは?

FAQシステムのFAQとは「Frequently Asked Questions」の略です。FAQシステムは、よくある問い合わせとその回答をデータベースにまとめ、検索しやすくしたシステムのことです。FAQのデータを作成するのは労力がかかりますが、FAQシステムでは効率よく簡単に登録できるような工夫がされています。また、FAQページの閲覧数やよく検索されているキーワードを分析することで、内容を充実させることができます。

■さまざまな用途で活用されるFAQシステム

FAQシステムには「顧客向け」「社員向け」「コールセンターのオペレーター向け」があります。

・顧客向け
顧客からの問い合わせをサポートするためのものです。わざわざ電話して問い合わせなくてもすぐに回答が得られるため、顧客満足度の向上が期待できます。購入を検討している人向けに製品情報や購入方法といった情報を提供するものや、製品やサービスをすでに購入している人向けにマニュアルや活用方法を提供するものなどがあります。

・社員向け
企業内においては、業務に使用するPCの設定や操作など、社内ヘルプデスクによるサポートのニーズが高まっています。情報システム関連だけでなく、各種届けや申請など、人事・総務に関連する手続きも数多くあり、担当者は問い合わせ対応に追われています。そうした問題を解決するべく、全社でFAQを統合的にまとめ、社員に提供する取り組みが増えています。

・コールセンターのオペレーター向け
コールセンターには多種多様な問い合わせが寄せられます。そのため幅広く対応するには経験を積む必要があり、特定の人への負荷集中や属人化の原因にもなっていました。比較的経験の浅いオペレーターでも対応できるように、FAQシステムを導入する企業も増えています。ナレッジを蓄積できるだけでなく、顧客へ回答するまでの時間を短縮できるため、顧客満足度向上にもつながります。

■FAQシステムと社内チャットボットとの違いとは?

FAQシステムと同様にチャットボットも導入する企業が増えてきました。チャットボットは広い意味でFAQシステムに分類されます。
チャットボットは、従来のFAQシステムと同じように問い合わせと回答をセットにしたデータベースをもとに回答をします。従来のFAQシステムでは、自分が知りたいFAQを自分で検索して探す必要がありましたが、チャットボットでは質問を入力すると、回答がチャット上に自動で表示されるという特徴があります。チャットボットをキャラクター化して親しみやすい対応をすることでファンを増やす取り組みも目立ちます。最近ではAIで質問内容を解析して、より質問者の意図に沿った回答をするチャットボットも増えてきています。

社内FAQシステム4つのメリット

従来は顧客向けのFAQシステムが主流でしたが、ナレッジが蓄積できることから社内業務にFAQシステムを活用する取り組みも活発になっています。働く人にとって、FAQシステム導入にどのような効果があるのかをまとめました。

1.社内ヘルプデスクの負荷軽減

テレワークが一気に普及したことにより、自宅から社内ネットワークに接続する環境が整備されました。それに伴い紙でやりとりしていた業務もデジタル化されるようになりました。そのため使用するツールもコロナ禍以前と比較してかなり増えているのではないでしょうか。もともとの人手不足の傾向もあり、社内ヘルプデスクが疲弊しているという問題もあります。FAQシステムで自己解決できることにより、社内ヘルプデスクが対応しなければならない問い合わせ件数を大幅に減らすことができます。

2.ナレッジの蓄積

ナレッジがいくつかのファイルに点在している、暗黙知になっている、といった課題は長年解決できていませんでした。社内で必要とされる知識をFAQシステムに統合することができれば、情報共有のスピードが速くなり、業務の生産性を向上させることができます。

3.属人化の防止

社内ヘルプデスクに問い合わせをした時「今日は〇〇さんがお休みだからわかる人がいない」と言われたことはありませんか。対応する問い合わせの範囲が広ければ広いほど、属人化が進みやすく、特定の人に作業負荷が集中する傾向があります。FAQのデータベースを充実させることで経験の浅い人でもキャッチアップができるようになり、属人化を防ぐことができます。

4.担当者不在時や夜間でも問題を解決できる

問題が発生した時に業務時間外だったり、たまたま担当者が不在だったりと、すぐに解決できずに困ってしまうこともあります。FAQシステムはメンテナンス中などの理由がない限りは24時間365日参照することができ、解決するまでの時間を短縮することができます。

無料ツールも登場!?FAQシステムの選択3つの比較ポイント

社内導入でもメリットが大きいFAQシステムですが、どのようなポイントでFAQシステムを比較・選択すればよいのでしょうか。ここでは、価格、機能、サポートの3点から比較ポイントを考えてみましょう。

・FAQシステム比較ポイント1  価格で比較(無料トライアルも可能)

システムを導入するとなると、まず気になるのは価格でしょう。一般的にFAQシステムは、ユーザー人数分のライセンス課金形態(月額)と、組織単位での一括課金(月額)の2パターンに分かれます。ユーザー課金は数千円から数万円、一括課金は数万円から数十万円です。高額なものになるとチャットボットや人工知能による分析なども可能となっています。
数十万円単位で導入する場合には、有人のヘルプデスクBPOサービスなども比較対象とすべきかもしれません。
また、FAQシステムの中には無料でトライアルできるシステムもあります。まずはスモールスタートで無料トライアルを行い、全社展開できると判断した段階で無料から有料に切り替え、全機能を活用できるようなFAQシステムもあります。

・FAQシステム比較ポイント2 機能で比較

無料のものから高価格帯のものまで、FAQシステムはそれぞれの機能に差があります。高価格帯のシステムでは数多くの機能が搭載されており、その活用の可能性が一気に広がります。例えば、ナレッジ機能を利用することで、蓄積されたFAQのコンテンツをデータベース化し、ノウハウとして全社共有できます。マルチチャネルによりPCのみならずスマートフォンでも閲覧が可能で、従業員の利便性の向上をはかれます。自動登録機能などを利用すれば、自然にFAQの内容が充実していき、担当者の負荷を軽減できます。
ただし、これら多くの機能は必須ではありません。機能と価格はバランスで選ぶことが重要です。

・FAQシステム比較ポイント3 サポートで比較

FAQシステムは導入して終わり、というツールではなく、どう運用していくかが重要となります。ナレッジを蓄積すればするほど使いやすさや検索性が向上していき、その導入効果が大きくなっていくからです。
そのため、重要となるのがベンダーのサポートです。運用担当者はFAQシステムの使い方、効率的な運用方法など相談したいことが出てくるでしょう。充実したサポートがあるFAQシステムであれば、導入はもちろん、運用を考えても安心です。当然ですが無料ツールにはサポートはついていません。サポートの有無を考慮してFAQシステムを選択することをおすすめいたします。

社内FAQシステム導入の前に確認したいこと

社内でFAQシステムを導入すると、たくさんのメリットがあるものの、導入準備にはそれなりの労力がかかることに注意が必要です。また利用を促進する取り組みも不可欠です。そこで導入前にやっておきたことをご紹介します。

・FAQの整理

FAQシステムは、FAQを充実させないと機能しません。事前によくある質問と回答を一問一答形式で収集し、内容を精査する必要があります。FAQシステムによっては、分野別のテンプレートを用意しているサービスもあるため、積極的に活用しましょう。整理にはかなりの労力がかかるため、最初は例えば「情報システム部門のPC設定を対象とする」といったように範囲を限定し、スムーズに運用できるようになったら、総務や人事の手続きなどに範囲を広げていくのがおすすめです。

・FAQシステムへのアクセス環境を整備

せっかく労力をかけてFAQシステムを構築したのに、誰も使ってくれない…というのはよくある話です。FAQシステムは多くの人に使ってもらわないと効果が出ません。社内ポータルサイトの目立つ位置にFAQサイトへのリンクを貼っておく、FAQシステムのトレーニング開催などを通じて十分に周知をしておく、といったことが大切です。また、探しやすいカテゴリー構成になっているか、FAQシステムで解決できなかった場合にやるべき次のアクションがわかるようになっているか、といったことを確認しておきましょう。

導入失敗も多い?FAQシステムは運用が重要

FAQシステムは使い込んでナレッジを蓄積していくうちに回答が充実し、エンドユーザーにとって有効なツールに育っていきます。エンドユーザーからの「よくある質問」を吸収し、その回答を揃えていくことで、知りたい情報をすぐに検索で見つけることができ、従業員自身が自己解決できるようになっていくのです。
このため、導入して終わりではいけません。ナレッジを蓄積・更新していかなければ従業員が利用しなくなり、「問い合わせ減少」という目標の達成は難しくなってしまいます。
したがって、FAQシステムの導入に当たっては、ナレッジの蓄積やメンテナンスを行う運用体制を整備する必要があります。
また、FAQシステムを導入したからといって、社内ヘルプデスクが不要になるわけではありません。問い合わせが減り、その対応の負荷を減らす効果はありますが、FAQシステムですべて自己解決することは難しく、やはり社内ヘルプデスクは必要となります。
このように、FAQシステム運用と社内ヘルプデスクの人的リソースを考えると、ひとりだけの情シス、兼任情シスという場合には、それほど負荷が減らないという状況も考えられます。そこで、FAQシステムや社内ヘルプデスクのアウトソーシングも含めて検討されることもおすすめです。

まとめ FAQシステムと社内ヘルプデスクの運用をまとめて提供するサービスも

最近では、FAQシステムと有人のヘルプデスクを統合し、アウトソーシングできる「従業員サポートデスク」サービスも登場しています。社内ヘルプデスクのアウトソーシングにFAQシステムを組み合わせることで、無料とまではいかないまでも比較的リーズナブルな価格で提供されています。
「情報システム部門の負荷を減らしてコア業務に注力したい」「身軽な体制にしたい」というお客様には、「従業員サポートデスク」サービスも選択肢の1つになるでしょう。ぜひ、ご検討いただくことをおすすめいたします。

この記事の著者

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