ITSMとは?ツールの種類や導入するメリットについても解説

さまざまなITサービスが普及している現代社会において、ITSMの重要性が増し、注目を集めています。本記事では、ITSMの概要やITSMツールを導入するメリットなどについて、わかりやすく解説します。ITSMの概要が知りたい人や、ITSMツールの導入を検討している人は参考にしてください。

ITSMとは

ITSM(IT Service Management)とは、利用者のニーズに合ったITサービスを提供するために必要な活動全般のことです。具体的には、ITサービスを利用者がいつでも快適に利用できるための活動と、ITサービスを継続的に改善していくための活動を、指しています。ITに関する取り組みのなかでも、「ビジネス」や「サービス」にフォーカスしている点が特徴です。

ITSMに類似した用語の意味

ITSMには、いくつか混同されやすい用語があります。ここでは、ITSMに類似した用語の意味について解説します。

ITILとは

ITSMに類似した用語の1つは、ITIL(Information Technology Infrastructure Library)です。ITILとは、ITSMの成功事例をまとめたガイドラインのことを指しています。ITILには、サービスの企画・構築・運用というシステムのライフサイクルに沿って、必要なプロセスが明記されている点が特徴です。

具体的には、以下の5つに分類されています。

・サービス・ストラテジ:ITサービスを提供する際の戦略を検討するもの

・サービス・デザイン:ITサービスを安全に本番環境に導入できるよう設計するもの

・サービス・トランジション:設計されたサービスを本番運用に移行するもの

・サービス・オペレーション:インシデント管理や要求実現、問題管理など、ITサービスを提供するもの

・継続的なサービス改善:ITサービスの継続的な改善のための手法をまとめたもの

ITOMとは

ITSMに類似した用語の1つは、ITOM(IT Operations Management)です。ITOMとは、ITSMを実現するうえで必要な作業を、効率化する仕組みのことを指しています。ITOMは、障害時の原因調査や問題の切り分け、関係各所への連絡などを、自動化・効率化するものです。ITOMは、ITの効果的な運用と管理を実現させる、重要な要素といえるでしょう。

ITSMが必要な理由

近年では、ITサービスの品質と安定性の向上が、より重要になりつつあるのが現状です。そのなかで、情報技術は組織全体のタスクや責任と、切っても切れない関係にあります。ユーザーに対して、サービスに関わる技術を最大限提供するためにも、ITSMによってタスクとプロセスを効果的に調整し、顧客の期待に応えることが不可欠です。

ITSMツールとは

ITSMツールとは、ITSMを効果的・効率的に実施するためのツールのことです。ITSMツールは、運用中の業務システムを一元的に管理し、ユーザーのニーズに合わせて改善する機能を持っています。ITSMツールを導入すれば、組織全体のITサービス管理のクオリティを高められるでしょう。

ITSMツールの種類

ITSMツールには、主に2つの種類があります。ここでは、それぞれの概要について解説します。

オールインワン型

ITSMツールの種類の1つは、オールインワン型です。オールインワン型は、ITSMに必要な機能をほとんど網羅しています。具体的に挙げられるのは、以下の機能などです。

  • インシデント管理
  • 問題管理
  • 変更管理
  • 構成管理
  • リリース管理
  • サービスカタログ管理

など

オールインワン型を導入すれば、その多機能性から正確な進捗の把握や、ミスの防止に役立つでしょう。

機能特化型

ITSMツールにおけるもう1つの種類は、機能特化型です。

機能特化型は、特定の問題点を解決することに重きを置いたツールです。例としては、サービスデスクの受付対応を効率化するチャットボットツールや、FAQツールなどが挙げられます。機能特化型のITSMツールを導入すれば、特定のITサービス管理プロセスの効率化や、専門性強化などを図ることが可能です。

ITSMツールを導入するメリット

それでは、ITSMツールを導入することによって、どのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは、ITSMツールを導入するメリットについて解説します。

サービスの品質が向上する

ITSMツールを導入するメリットは、サービスの品質が向上することです。ITSMツールを活用すれば、組織内で標準化されたプロセスが導入されるため、業務の品質が向上します。インシデント管理、問題管理、変更管理などの業務プロセスを自動化する機能を持っているため、業務効率もアップするでしょう。あわせて、顧客満足度の向上にも期待できます。

早期に問題を見つけられる

ITSMツールを導入することで得られるもう1つのメリットは、システムの問題を早く見つけられる点です。ITSMツールによって過去の対応履歴を参照することで、迅速かつ効果的な対処ができます。また、インシデントの情報が記録され、ナレッジベースにも蓄積がされます。蓄積されたナレッジは、関係部署や関係者に展開するとよいでしょう。

情報を一元管理できる

情報を一元管理できる点も、ITSMツールを導入するメリットの1つです。インシデント管理や問題管理などのITサービスに関する情報を一元管理できれば、システムをより効果的に運用できるようになるでしょう。また、情報の散逸や重複を防げるため、データの整合性が保たれる点もメリットです。結果的にコミュニケーションが円滑になり、情報共有が効率化されます。

ITSMの活用方法

それでは、ITSMをどのように活用していけばよいのでしょうか。ここでは、ITSMの活用方法について解説します。

インシデント管理

ITSMの主な活用方法に、インシデント管理が挙げられます。インシデント管理とは、事故によるビジネス影響を最小限にし、迅速にITサービスを復旧することを目的とした管理プロセスのことです。インシデント発生から解決、復旧、再発防止にいたるまで、一連のプロセスを指しています。インシデント管理を行うことで、安定性の高いサービスの提供が見込めます。

変更管理

変更管理も、ITSMの活用方法の1つです。変更管理とは、ハードウェアやソフトウェアなどのITリソースに対し、追加や修正、削除を行い、改善する管理プロセスを指します。

具体的には、以下のプロセスなどが対象です。

  • ハードウェアの追加導入
  • オプション製品による拡張
  • 修理交換
  • 廃棄した場合などの変更
  • 新しいソフトの導入
  • バージョンアップ
  • セキュリティパッチの適用

など

対応をナレッジ化し、組織全体で共有することで、迅速な対応が期待できます。

問題管理

ITSMにおけるもう1つの活用方法は、問題管理です。問題管理とは、インシデントの根本的な原因の究明を目指し、回避策と既知のエラーを管理するプロセスのことです。問題管理を徹底することで、恒久的なインシデントの再発防止を実現できるでしょう。

サービスデスク

ITSMは、サービスデスクにも活用できます。サービスデスクとは、サービス運営における幅広い業務を担う機能のことです。インシデント管理や問題管理、変更管理、構成管理など、多岐に渡るプロセスの連携をスムーズに行うために、重要な役割を果たしています。迅速に対応することで、サービスに対する顧客満足度の向上を図れるでしょう。

ITSMツールを選ぶ際のポイント

ここでは、ITSMツールを選ぶ際のポイントについて解説します。

利用目的を明確にする

ITSMツールを選ぶ際のポイントは、利用目的を明確にすることです。企業や組織によって、ITSMツールに対するニーズは異なります。目的を明確にすることで、適切なツールを選択できるようになり、効果的に活用する体制が整うでしょう。また、利用目的が明確になれば、経営陣や他部門からの承認を得やすくなります。

操作性を確認する

ITSMツールを選ぶ際には、あらかじめ操作性を確認することが非常に重要です。操作性がよければ、効率的な作業や迅速な問題解決につながります。作業効率が向上することで、ITサービスの品質や速度もよりよいものになるでしょう。一方、操作性が悪ければ、継続して利用しにくくなります。

まとめ

近年では、世の中のニーズに合ったITサービスを提供するべく、ITSMに力を入れることが求められています。ITSMを効果的に実施したいなら、ぜひITSMツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

ITSMの強化を図りたいなら、ぜひReSMのITサービスマネジメント導入支援サービスのご利用をご検討ください。

この記事の著者

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