社内のさまざまな情報を手軽に検索、FAQシステムとは?

社内の業務で困った時に、メールや電話で質問するのではなく、手軽に情報を探して疑問点を解消したいというニーズが高まっています。また問い合わせ対応は、間接部門の仕事の3分の1を占めるという説もあるほど、負担がかかっている作業でもあります。そうした課題を解決するひとつの方法としてFAQシステムがあります。FAQシステムはどういう機能を持ち、どんな効果があるのかをご紹介します。

FAQシステムとは?

FAQとは「Frequently Asked Questions」の略で、「よくある質問と回答」という意味です。過去の問い合わせ対応履歴を整理して、一問一答形式でユーザーの知りたいことに対して的確な回答を用意します。FAQの数が少ないうちは、静的なWebページに掲載するだけでも機能しますが、膨大な数になると検索しやすさ、メンテナンスしやすさが重要になってきます。

そのため多くの企業ではFAQシステムを導入しています。FAQは、総務部で社内の手続きを従業員に案内する、情報システム部門でPCの設定のサポートをする、コールセンターで経験の浅い担当者が問い合わせを受けた時に回答を探す、といったように様々な部署が様々な用途で使用しています。社員教育や営業活動のTipsなどで活用している企業もあります。

企業によっては、チャットボットを使って問合せの自動対応をさせる発展的なシステムを構築することもあります。AIを活用して質問者の意図をくみ取った自然な会話を行い、回答精度を上げていくことができます。

こうした高度なシステムもFAQシステムがベースとなっています。ナレッジシェアを促進するのはもちろん、将来的にこうした高度なシステムに発展させる可能性を広げるためにも、FAQシステムを構築してナレッジを作りこんでいくのは意義あることと言えます。

FAQシステム導入の効果

FAQシステム導入には、問い合わせ対応者、問い合わせ者の両方にメリットが期待できます。主なメリットは次のとおりです。
・属人化の防止
社内の問い合わせで電話した時「担当者がいないのでわからない」と言われた経験がある方もいるかもしれません。問い合わせ対応を少ない人数で担当している企業も多く、担当者に依存してしまうリスクもあります。FAQシステムがあれば担当者が異動・退職した時にも新任の担当者にすぐに引き継ぐことができます。
・スキルの平準化
経験豊かな社員と新人社員では、スキルに大きな差があります。例えばコールセンターでは担当者によってサービスの質に差があると顧客満足度の低下につながってしまいます。FAQシステムを活用して知りたいことがすぐに検索できるようになれば、スキルのギャップを縮めることができます。
・ナレッジの一元化
特に社内においては、FAQがファイルにまとめられており、そのファイルが部門ごとに点在しているといったことも珍しくありません。この質問はこのファイル、この質問はこのファイルというように、質問の内容によって探す場所が異なると利便性もメンテナンス性も下がります。メールで受け渡しをしたことによって、バージョン違いのファイルが複数あってどこを見たらよいかわからないといった問題も起こりがちです。FAQシステムでデータを統合することで一元管理が実現します。
・問い合わせ対応作業の削減
問い合わせ者がFAQシステムで自己解決できる確率があがると、それに反比例して問い合わせ対応作業は減少していくことが期待できます。より少ない人数で問い合わせ対応できるようになるため、生産性向上にもつながります。
・社員満足度の向上
ちょっとした質問についてもメールや電話質問しないとわからないのと、FAQを見ればすぐわかるのとで、どちらがユーザーの満足度が高いのかは一目瞭然です。問い合わせをする人にとっても電話をしても担当者がいない、たらいまわしをされて回答に時間がかかる、といったストレスがなくなります。

FAQシステムの仕組み・機能とは

FAQシステムは、FAQのデータを準備して登録し、ユーザーに検索機能を提供します。FAQシステムの基本機能には「検索機能」「コンテンツ作成機能」「分析機能」です。「社内向け」「社外向け」と2パターンの製品を提供している企業もあります。

■検索機能
欲しい情報を素早く探すために欠かせない検索機能。代表的な検索機能には「キーワード検索」「カテゴリー検索」「分岐・選択形式検索」があります。
・キーワード検索
知りたいことをキーワードとして入力し、該当するFAQを検索します。膨大なFAQデータがある場合、キーワード検索が重要になってきます。最近ではAIを活用してあいまいな検索やスペルミスにきめ細かく対応し、キーワード入力を助けるサジェスト機能を備えているツールがあります。
・カテゴリー検索
FAQを階層化し、カテゴリーをツリー構造で表示します。例えば「有給休暇の申請の方法を知りたい」を検索する場合に、「総務部」「休暇申請」というように探す対象のカテゴリーがある程度わかっている場合は、探しやすくなります。
・分岐・選択形式検索
トラブルシューティングのように、「PCが起動しない」「社内稟議の方法を知りたい」というようにユーザーの困りごとややりたいことを選択することで条件を分岐していき、最終的に回答にたどり着く検索方法です。どのように検索すればよいかわからない時に有効です。
こうした検索機能と合わせて、「よく見られている質問」「重要な質問」を数個ピックアップして表示するのが一般的です。

■コンテンツ作成機能
QAを提供する側が使うFAQを登録する機能です。代表的な機能をご紹介します。
・コンテンツ作成・一括登録
FAQコンテンツを登録します。最近では設定の支援などもあり簡単に操作できる製品が増えています。製品によってはファイル、画像、動画といったコンテンツを登録することもできます。一括登録機能を使えば、今まで作成していたFAQの資産を活用できます。
・関連FAQ登録(タグ付け)
FAQコンテンツ同士で関連するものにタグをつけておくことで、ユーザーがひとつのFAQから関連するFAQのリンクを辿ることができ、より広く知識を参照できます。
・重要度設定
重要度を設定することで、重要なFAQをトップページで表示させることができます。ユーザーは探す前に知りたいことが見つけ出せる確率が高くなります。

■分析機能
分析機能はユーザーの行動を知り、どのようなことを求めているかを理解するために役立ちます。代表的な機能をご紹介します。
・閲覧数分析
閲覧数の高いFAQを確認することで、ユーザーがどんなことを知りたいのか、興味を持っているのかを分析することができます。
・評価アンケート分析
FAQのページに例えば「解決した」「解決しなかった」というボタンを用意して、ユーザーに評価してもらった結果を分析する機能です。
・行動履歴分析
ユーザーが検索して回答ページへのリンクをクリックしたか、回答ページから関連のFAQリンクをクリックしたか、といったユーザーの行動を追跡することで、ユーザーを理解し、FAQの改善に役立てることができます。

FAQシステムを導入後、使われないシステムになることも

メリットがたくさんあるFAQシステムですが、導入したけれども使われないままという声も少なくありません。そうした声を集めていくと、次のような原因が多いことがわかりました。

■製品が提供する機能が使いこなせない
FAQシステムは高機能なシステムもあれば、簡易的なシステムもあります。高機能な機能を使いこなせず挫折してしまうこともあります。また不要な機能が多いと費用対効果が下がり、操作にも戸惑います。今回初めてFAQシステムを導入するなら、できるだけシンプルな機能構成の製品を選ぶとよいでしょう。

■ユーザーが使ってくれない
苦労して導入しても、ユーザーが全然使ってくれないこともあります。使わない理由がFAQの精度が悪いのか、そもそもFAQサイトの存在を知らないのか、操作方法がわからないのかという原因を仮定して検証していく必要があります。対策としては
・FAQサイトへの動線を改善する
・メール等でFAQサイトの案内をする
・問い合わせをする前に、まずFAQを見てもらうルールを作る
・モニター参加を募り実際に使ってもらって意見を聞く
といった方法があります。

■データメンテナンスが追い付かなくなった
初めてFAQシステムを導入する場合は、FAQの作成だけでなく、カテゴリーの作成やタグ付けなどの作業が必要です。また運用開始後もデータを追加したり、古くなっている内容を更新したりする必要が出てくるため、メンテナンスの時間も必要です。こうした時間が確保できず、使えないFAQシステムになってしまうことも多いのが実情です。FAQの範囲を限定してスモールスタートし、ユーザーの動向を見ながら徐々にデータを増やしていくといった対策が必要です。

FAQシステム導入を成功させるには運用のアウトソーシングも

コールセンターの対応履歴からFAQを自動生成したり、膨大なドキュメントを検索してインデックスを生成したり、といった作業を効率化する機能を提供する製品もありますが、それでもデータメンテナンスの負荷はかなり大きなものとなります。そのため運用については、アウトソーシングするのも選択肢のひとつです。FAQシステム運用のノウハウがあるアウトソーシングの企業であれば、運用開始してからの登録・更新のルール作りや、品質の保ち方についても提案してくれます。
FAQの整備は知識・ノウハウを未来へ継承するために遅かれ早かれ必要となるものです。アウトソーシングを活用して作業の負荷をできるだけ軽減しながら、効率的に知識・ノウハウの資産を作っていきましょう。

この記事の著者

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