属人化すると、業務はどうなる?誰でもスムーズに対応できる仕組みづくりが必要

「業務は慣れている人がやった方が早く終わる」「この仕事はAさんでないとできない」という会話が社内から聞こえてきていませんか。人手不足やテレワークの普及により生産性向上が求められ、属人化が大きな課題となっています。特に多岐にわたる仕事が降りかかっている情報システム部門では、属人化の傾向が顕著だとされています。属人化を解消するにはどのような対策が必要なのでしょうか。

属人化とは?年々深刻化する属人化の問題

属人化とは、特定の人でないと業務が進められない状態を指し、「業務のブラックボックス化」と言われることもあります。属人化は以前から発生していましたが、最近クローズアップされるようになったのは、いくつかの理由があります。
ひとつは深刻な人手不足です。日本の人口は2011年以降減少が続いており、今後は15歳から64歳までの労働人口の減少が加速すると見られています。中小企業庁が発表した「2020年版 小規模企業白書」によると、2013年第4四半期に全ての業種で従業員過不足DIがマイナスになり、その後もマイナス傾向が強まっています。また企業の規模が大きいほど人員が不足している企業の割合が増えています。これらの結果から、企業規模を問わず人手不足感がある状況が伺えます。
かつては「担当者が退職したら後任の人を雇って教育をすればよい」という考えがありました。しかし今はすぐに人材を補強することが難しくなっています。人材の流動性も高まっているため、時間をかけて教育をしてもすぐに退職してしまう可能性もあります。
さらにコロナ禍でビジネス環境は激変しました。テレワークの普及により、働く人に目が行き届かなくなった今、業務を可視化・標準化し、生産性を向上させる必要性に迫られています。国土交通省の「令和2年度 テレワーク人口実態調査」によると、今後テレワークを継続したくないと考えている人の43%は、その理由として「仕事に支障が生じる(コミュニケーションのとりづらさや業務効率低下など)、勤務時間が長くなるなど、勤務状況が厳しくなるから」と回答しています。この調査結果から、テレワークとオフィスワークのギャップを埋めるためには、仕事を標準化・効率化する必要があると言えます。

業務の属人化のメリット・デメリット

このような状況もあり、とかく悪者にされがちな業務の属人化ですが、メリットもあります。例えば特定の人が担当し専門化することで、スキルが向上し、業務の生産性が向上することもあります。周囲から評価されれば、モチベーションも高まるでしょう。他の人が業務を行うことで質が低下するなら、ビジネスに悪影響を及ぼす可能性もあります。
一方で「Aさんでなければこの業務はできない」となれば、Aさんは休暇を取れなくなってしまいます。Aさんに作業が集中しても誰も助けられません。さらにこの先Aさんが退職してしまったら誰も業務ができない、といったことにもなりかねません。このように、個人に依存することにより業務が滞ることが数多くあります。担当者のワークライフバランスを守るためにも、全体の生産性を向上させるためにも、属人化は向き合わなければならない問題と言えるでしょう。

属人化の傾向が強い情報システム部門

特に情報システム部門では、属人化の傾向が強いとされています。その原因のひとつは専門性の高い業務が多いことです。そのため他の人がスキルを習得するのに時間がかかり、属人化の解消が難しいケースがあります。
仕事が多岐にわたることも要因の一つです。情報システム部門ではネットワーク監視、システムの保守運用、セキュリティ対策、端末管理といったITインフラの保守運用から、社内ヘルプデスク業務までこなしています。トラブルなど緊急対応のためミスが許されない業務も多くあり、担当者に依存せざるを得ないのが実情です。
さらにコロナ禍という危機に直面したことで、情報システム部門の仕事はさらに増えました。テレワークで外部から社内ネットワークに接続するための設定や、新たに導入したクラウドサービスの操作方法など、問い合わせ対応に追われています。さらにITを活用して業務を革新するDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みが加速し、経営層、情報システム部門、業務部門が共通認識を持つために対話が必要とされています。情報システム部門では経営層と各部署をつなぐ架け橋としての役割も生まれました。このような新たに発生した仕事に追われて、属人化がさらに進んでいる可能性もあります。

属人化を防ぐ仕組みの作り方

情報システム部門の属人化を防ぐには、どのように仕組みを作っていけばよいのか、過去の事例からご紹介します。
・業務の可視化
まず情報システム部門全体でどれだけの業務を抱えているのかを可視化する必要があります。関係者にヒアリングして業務を一覧化し、実行頻度やかかる時間、手順のドキュメントを整理します。
・属人化している業務の原因を究明する
業務一覧から属人化している業務を抽出し、その人にしかできない専門性の高い業務なのか、周りが遠慮してその人に任せているのか、といった属人化の原因を究明すると、解消できる問題とできない問題が明確になります。
・標準化・自動化の検討
誰でも業務を進められるように、無駄な作業を省いて作業フローを最適化し、マニュアルに記載します。また単純作業を自動化することも大切なポイントです。
・チームで対応する体制を作る
専門性の高い業務であっても、細かく分解すると他の人でもできるような仕事があるものです。時間がかかっても他の人が業務に習熟することでビジネスの価値が高まることもあるでしょう。長期的なスキルトランスファーを視野に入れ、特定の人が担当するのではなく、グループで仕事をするという体制も必要です。

属人化を解消するならアウトソースの選択肢も

情報システム部門で働く人の多くが、属人化を解消する必要があると感じています。にもかかわらず属人化を防ぐ仕組みがない企業も多いのではないでしょうか。
原因の一つに、各メンバーが担当する業務に忙殺されて、属人化解消の取り組みが後回しになってしまうことです。情報システム部門の膨大な業務を可視化するだけでも相当の時間がかかります。普段の業務と並行して進めるのは、かなりの負荷がかかります。
もう一つの原因は、各メンバーが属人化解消の重要性を認識していないことです。属人化している業務は、担当者自身が問題意識を持っていないケースもあります。全ての人が問題を認識し、高いモチベーションで取り組む必要があります。
この二つの原因を解消するには、外部の人材を投入する方法が考えられます。業務をアウトソースすることでメンバーの負担を軽減することができるだけでなく「教育してもすぐやめてしまう」といった人材流動化の問題も解消できます。また外部人材が参加することで「属人化解消に本気で取り組まなければならない」という意識も芽生えます。
専門性の高い外部の人材を活用することで、長年解決できなかった属人化が解消したという例もあります。アウトソーシングを上手に活用しながら属人化の解消に取り組めば、働く人の負荷を抑えつつ、生産性を改善していくことも可能です。
「業務量が多いなら、人を増やそう」が難しくなっています。限られたリソースでも仕事をスムーズに進められる環境づくりに向けて、ニューノーマル時代の今こそ属人化の解消に取り組みましょう。

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