社内の問い合わせ対応の効率化につながるエスカレーションルールの作り方

社内ヘルプデスクで解決できない問い合わせ、どのように対処していますか。一次対応で解決しない問題を速やかに解決するには、関連部署との連携が欠かせません。問い合わせの早期解決に必須となるエスカレーションルールについてご紹介します。

エスカレーションとは?

エスカレーションは、一般的には上位者へ判断を仰ぐことを指しますが、ヘルプデスクの業務においては、担当者が単独では解決できない問題を、より専門的な知識を持つ関係各部署に転送することを意味します。
エスカレーションの際は、問い合わせの内容がシステムの障害なのか、ネットワークの問題なのか、といった切り分けを行い、適切な専門部署に転送する必要があります。エスカレーションがスムーズにできないと「適切な回答が返ってこない」「解決までの時間が遅い」といった問題が発生し、結果として企業全体のパフォーマンスが低下してしまいます。

PCトラブルだけでなく、各種手続き方法まで…幅広すぎる社内問い合わせの内容

従来の社内ヘルプデスクは、OA系のアプリケーションの操作やPCなどのハードウェアのトラブルに対応してきました。最近ではヘルプデスク機能をさらに進化させ、業務システムの問い合わせや経費精算・出張申請といった各種手続き方法まで、利用者からの問い合わせの窓口を一本化する取り組みが注目されています。こうした流れの中で、ヘルプデスクが対応する範囲は大きく広がっています。
さらにテレワークが普及したことで、ヘルプデスクへの負荷が増大しています。コロナ禍が未だ収束しておらず、政府は感染者の重症化を抑えるため、テレワークの活用などにより出勤者数を7割削減するよう関係団体に要請しています。各企業ではテレワークでもオフィス勤務と変わらない業務ができるように、業務プロセスを見直し、各種サービスを導入して環境を整備しています。
そのため企業のICT環境は大きく変化しました。ヘルプデスクでは、PCの環境設定や新しいサービスの操作方法、トラブル対応など、新たな問い合わせが増えました。テレワークにおいては隣の席の人に気軽に聞いてその場で解決することが難しく、ヘルプデスクに頼ることも増えていると予想できます。

担当者が対応できない問い合わせ、問い合わせ者は不満、対応者も疲弊、非効率な状態に

問い合わせをする人にとっては、問い合わせ窓口が一本化されることで、どこに問い合わせたらいいのか迷うことがなくなり、便利になるはずです。
しかし実際は、適切な対応ができていない場合もあります。問い合わせの範囲が広がり、テレワーク環境に関連する問い合わせが増加したことで、ヘルプデスクの担当者が解決できない問題が多くなっているからです。
範囲が広いため、どのような対処をすればよいかわからず、時間だけが過ぎてしまうケースも珍しくありません。問い合わせをする人も、解決までに時間がかかり不満を感じている傾向にあります。ヘルプデスクの業務が非効率になっており、担当者が疲弊しているという話もよく聞かれます。
ヘルプデスクの効率化の取り組みとして、マニュアルやFAQ作成など自己解決する手段の提供に注目されますが、それ以前にヘルプデスクが正しくエスカレーションできているかを見直す必要があります。

社内問い合わせをエスカレーションするために必要なこととは

問い合わせ対応は、一次受付で状況を切り分けて適切な部署にエスカレーションしないと、全体の効率化は期待できません。内容に応じてエスカレーション先とフローを決めておく必要があります。
スムーズにエスカレーションするには、関係部署の協力が不可欠です。エスカレーションは関係部署のメンバーに負担をかけることにもつながるため、協力を得るための仕組みを作る必要があります。
・エスカレーションルールの共有
どのような問い合わせの場合は、どの部署にエスカレーションするか、エスカレーション先の部署はどのように対応するか、といったルールを関係部署と共有しておくことが、スムーズな対応につながります。
・問い合わせを管理する
問い合わせ内容をエスカレーションして終わりではなく、問い合わせがどのような状態にあるかを管理しておき、エスカレーション先で止まっていないかをチェックする必要があります。
・問い合わせ対応にかかった時間を記録する
解決までにかかった時間と、ヘルプデスク、エスカレーション先それぞれで作業にかかった時間を記録することで、解決までに時間がかかりすぎていないか、特定の部署に負担がかかっていないかを可視化し、改善していきます。
・FAQを整備する
ヘルプデスク担当者はFAQを整備することで、自己解決やヘルプデスクの中で完結できる問い合わせを増やすことができます。FAQを関連部署に共有すれば、エスカレーション先でも活用できます。
・エスカレーションルールを定期的に見直す
関係部署に参加してもらいエスカレーションルールを定期的に見なおすことで、より効率化できます。
社内の問題は、特定の部署、特定の担当者が抱えるものではなく、全社で組織的に解決していくべきものです。日頃から各部署と問題を共有し、意識を合わせておきましょう。

部門間を横断するエスカレーションルール作成のポイント

エスカレーションルールを明確にすることは、関係部署と認識を合わせるために必要な作業です。エスカレーションルールを作成するためのポイントをご紹介します。
・ケースを洗い出し、エスカレーション先を定義する
業務システム、社内の申請、ネットワークのトラブル、といったようにケースを分けてエスカレーション先を定義します。
・迷った場合、連絡が取れない場合のエスカレーション先を定義する
どこにエスカレーションしてよいのかわからないために、解決までに時間がかかってしまうこともあります。迷った場合に相談できる担当者を設定しておきましょう。また、「Aさんに連絡が取れない場合は、Bさんに連絡する」といった代替ルートも設定します。
・エスカレーション手段を明確にする
チャットツール、電話といったエスカレーションする手段を明確にしておきます。スムーズに対応できるように「チャットツールで10分以上経過しても連絡が取れない場合は電話連絡する」といったルールを設けるのもひとつの方法です。

社内問い合わせの対応の負担を減らしたいなら外部サービスの利用も

問い合わせ対応の負担軽減は、エスカレーションルールやFAQを整備した先に見えてくるもので、効果を得るには時間がかかります。「現在のリソースで対応していくにはもう限界…」という場合は、外部サービスの利用も考えておく必要があります。
企業の7割がヘルプデスクやトラブルシューティングを社内で対応しているというデータもあることから、ヘルプデスク業務がIT戦略を進めていくうえでの足かせになっているとも考えられます。外部サービスのリソースと知見を活用すれば、エスカレーションルールやFAQを効率的に整備し、より戦略的な業務に社内のリソースをシフトさせていくことも可能です。
コロナ禍という大きな変化に直面し、多くの企業でDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでいます。ヘルプデスクの革新もDXの一部として取り組んではいかがでしょうか。

この記事の著者

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