AWSが選ばれている理由から導入後の注意点、事例までを簡単解説

AWSは世界中で導入されているトップシェア(33%前後で推移)のクラウドコンピューティングサービスです。低コストでありながら、用意されているサービスの種類が豊富で、導入後のスケールアップ・スケールダウンの自由度も高いといったメリットから選ばれており、2位のMicrosoft Azureを大きく引き離しています。 AWS導入後は運用フェーズへと移り、活用していく間はずっと、監視や障害対応、社内ヘルプデスクなどを実施していく必要があります。 本コラムでは、AWSの概要や選ばれる背景、導入のメリット、導入後の注意点まで、まとめてご紹介いたします。

AWSとは

AWS(Amazon Web Services)とは、Amazon.comが提供するクラウドコンピューティングサービスです。世界のトップシェアを誇り、33%前後を占めています。2位のMicrosoft Azure(シェア率13%前後で推移)に大きく差をつけており、また、世界のクラウド市場そのものが成長中であるため、今後もAWSを導入する企業は増えていくことが予測されます。

AWSが公開されたのは2006年7月のこと。企業向けにITインフラサービスをWebサービスとして提供開始しました。それから10年間で、シェア率が30%を占めるまでに成長しました。

AWSは、名称に“ Web Services”とありますが、実際にはWebサービスにとどまらず、オンプレミスのVMwareなどをAWS上へ移行する「AWS Server Migration Service」や、AWS上で下層ネットワークを作成・利用できる「Amazon VPC」など、さまざまなサービスが提供されています。

AWSを活用することで、低コストでスピーディにITインフラを構築でき、高セキュリティ環境で安定したサービスを利用できます。AWSを導入するメリットについては、次章で詳しくお伝えします。

AWS導入のメリット

クラウドサービスの中からAWSを選ぶメリットは何でしょうか?
大きく、以下の4点が挙げられます。

・提供サービスが豊富で拡張性が高い
AWSには、「コンピューティング」「分析」「データベース」などの25カテゴリにまたがる200を超えるサービス数が用意されています。
こうした豊富なサービスの中から必要なものを組み合わせて利用することで、構築環境をAWS上で完結できる点がメリットです。
また、導入後に別サービスを追加で利用することで拡張性も高いといえます。Webサイト上で簡単な設定変更を行うだけで追加できるため、タイムロスもありません。

・低コストで導入できる
AWSには、無料利用枠が用意されています。2021年12月より、利用条件が緩和され、無期限で利用できたり、利用回数の上限が拡大されたりするサービスが増えました。
このほか、初期費用を必要とせず、利用したい期間・回数だけリーズナブルに利用できます。
基本的には長期契約も必要としませんが、「リザーブドインスタンス」や「セービングプラン」といったプランでは、長期契約の見返りとして大幅な割引が受けられるなど、コストメリットの高い料金体系となっています。

・セキュリティが高い
AWSは、サービスの提供開始当初からセキュリティを最優先事項としており、セキュリティ専門部隊を設置して、大規模かつ継続的な投資を行い、常にセキュリティ機能を充実させています。
さらに、世界中の複数の第三者機関による検証を行うことで、高いセキュリティを維持しています。その数は、グローバルではクラウドセキュリティアライアンス統制(CSA)など11機関、アジアパシフィックでは金融業界情報システムセンター(FISC)など9機関にものぼります(2022年1月現在の数値)。
(出典:AWS コンプライアンスプログラム)

・導入スピードの早さ
ハードウェアを調達するのに何ヵ月もかけることなく、AWS上で新たなアプリケーションを開発・展開し、テストと検証を行えるため、アジャイル開発が可能です。
また、必要に応じてスケールアップ・スケールダウンの調整も自在に行えます。
このため、AWSを導入することで、ビジネススピードを一気に向上することが可能です。

AWS導入後の注意点

上記のように導入メリットの多いAWSですが、導入後の運用に際しては次のような点に注意する必要があります。

・サービスを追加した結果、コストが上昇してしまう可能性がある
前述のように、AWSには数多くのサービスが用意されており、目的に合わせて組み合わせて活用することで、理想に近いIT環境を利用することができます。

しかし、最適な組み合わせを選択するには、相応の知識が必要です。知識がないままに導入した結果、後から追加のサービス導入が重なり、想定よりもコストが上がってしまうケースもあります。また、当初の設計に問題があれば、導入したものの結局は活用できないということにもなりかねません。

・セキュリティに配慮する必要がある
「AWS導入のメリット」でお伝えしたように、AWSはセキュリティの高さをうたったサービスですが、クラウド環境そのもののセキュリティはAWSが担保するとしても、クラウド内のセキュリティは自社で責任を負う必要があります。これは、AWS側も「責任共有モデル」として公表しています。まずは、AWSが責任を負う範囲と自社が責任を負う範囲を正しく把握することが大切です。

その上で、セキュリティグループごとにアカウント情報の管理を行い、各利用サービスにおいて定期的にバックアップを実施する必要があります。

このほか、AWSが問題なく使えるよう、運用監視を行ったり、ユーザー部門の従業員からの問い合わせに対応するヘルプデスクを設ける必要も出てきます。AWSは導入したら終わりではなく、その後も運用がずっと続いていくことを念頭に検討を進めましょう。

AWSを導入している業界事例

最後に、AWSの導入事例を業界別でご紹介いたします。

・【製造業界】3年間で142のシステムをAWSへ移行 コストは4割減(AGC株式会社)
世界最大手のガラスメーカーであるAGC株式会社では、2011年の東日本大震災を機に、BCP(事業継続計画)の強化に着手しました。当初は、データセンターの拡張を行うことを想定していたものの、コストが2倍以上になることから断念。代替策として挙がったのがクラウドだったといいます。安定性や実績などからAWSを選択しました。

移行開始から3年間でトータル142ものシステムをAWSへ移行。具体的な利用サービスは、Amazon EC2、EBS、S3をベースに、データベースにはAmazon RDSを、データのアーカイブにはAmazon Glacierを利用するという構成を採用しています。

移行により、オンプレミス時代と比べてITインフラのコストは4割ほど削減できたそうです。

・【製薬業界】従来は30日かかっていた計算を1日で終えられる処理能力を獲得(エーザイ株式会社)
大手製薬会社であるエーザイ株式会社では、ICTを活用してイノベーションを推進する方針を掲げています。創薬の現場で必要となる、病気の原因となるタンパク質を見つけ出す探索研究では、10万種類以上ものタンパク質と、病気に関連するタンパク質と結びつく数千万種類以上もの化合物候補に関する大量のデータを生成・収集・分析する必要があり、これを実現できる環境が求められるといいます。

同社では従来、オンプレミスでその環境を確保していましたが、コストを抑えて新薬開発のスピード化を図るため、クラウドの活用に踏み切りました。
AWSのAmazon EC2、Amazon ECS、Amazon S3などを利用して構築したプラットフォームを使用。オンプレミス時代は数百コアが限界だったリソースから、移行によって数千コアを同時に立ち上げて計算ができるようになったそう。これは、30日かかっていた計算を1日で終えられる処理能力だといいます。

・【建設業界】リアルタイム現場管理システム「3D K-Field(R)」をAWS上に構築(鹿島建設株式会社)
大手総合建設会社である鹿島建設株式会社では、2018年に建築の生産プロセスを変革する「鹿島スマート生産ビジョン」を策定し、デジタルを活用した生産性の向上改革に乗り出しました。同ビジョンは、「作業の半分はロボットと」「管理の半分は遠隔で」「全てのプロセスをデジタルに」の3つをコア・コンセプトとしています。

背景には、建設業界における就業者不足があり、働き方改革推進のためにも生産性の向上が喫緊の課題となっていることから、建設現場のモノやヒトの動きを3次元で可視化するリアルタイム現場管理システム「3D K-Field(R)」の検討をスタートしたそうです。

開発において、3次元化のプラットフォームにはAWSを採用。AWS Fargate と Amazon Elastic Container Service(Amazon ECS) で構築したといいます。
「3D K-Field(R)」が実現したことで、目視や立ち会いが必要なもの以外は遠隔に切り替えられるようになりました。

まとめ

世界でクラウドサービスのトップシェアを誇るAWSは、導入メリットが多く、それだけ選ばれる理由のあるクラウドサービスであえるといえます。

ただ、AWSに限らず、クラウドサービスを導入する際は、ある程度の専門知識と、導入後の運用体制も必要なため、そこも含めて検討しておくことが大切です。

たとえば、ReSMでは、導入支援から運用サポートまで一気通貫でご提供しております。
AWSの導入・運用に不安をお持ちの企業様は、お気軽にお問い合わせください。

この記事の著者

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ReSM(リズム)サービス担当者
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