社内問い合わせを削減したい!どういったツールの導入が本当に役立つのでしょうか?
テレワークへの移行、DX…情報システム部門がやるべき仕事は山積みです。さらに並行して実施している「社内問い合わせ対応」が、重い負担となっています。このような状況の中で、いかに社内問い合わせ対応を効率化し、コア業務に集中できるかが今後の重要な課題になってきます。ただ、単純にツールやシステムを導入しても、なかなかうまくいかないケースが多いようです。
情報システム部門の負担は増大
2020年は新型コロナウイルス感染症が世界で拡大するという予期しない事態になり、ワークスタイルは、半ば強制的にテレワークへ移行しました。多くの人が別々の場所で働いても仕事が回るように、業務プロセスのムダが見直され、紙のやり取りがデジタル化されるなど、社内のシステム改善も進んでいます。
さらに企業ではニューノーマルに向けて、変化のスピードが加速するビジネス環境に対応するために、DX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みが進みました。DXはICTを活用した革新を実現する取り組みで、より戦略的な施策が求められます。
情報システム部門は、テレワークとDXにおいて重要な役割を担っています。日本情報システム・ユーザー協会が発表した「企業IT動向調査報告書2021」によると、IT 基盤における企業の優先課題の回答を「現状」と「今後」で比較したところ、「テレワーク環境の整備」が、現状は40.3%、今後では48.1%に増えており、コロナ禍の収束後もテレワークが大きな課題と認識されていることがわかります。また、「ビジネスに柔軟かつ迅速に対応できる IT 基盤の構築」が、現状の36.3%、今後では58.5%と増えており、DXの取り組みに対応できる「変化に強いIT基盤」が求められていることがわかります。
中堅企業で進まないヘルプデスク業務の改善
こうしたニューノーマルに向けた取り組みが情報システム部門で期待されているが故に、既存の業務を効率化する必要性にも迫られています。同じ調査でIT部門の業務改革として上位に挙がったのは「運用管理業務の標準化/効率化」「運用管理業務のアウトソーシング」「ヘルプデスク業務の整理/統合」でした。
しかし売上高が100億~1000億円未満である中堅企業の業務改革実施状況を見ると、「ヘルプデスク業務の整理/統合」については、44.3%が「未実施・実施予定なし」となっており、取り組みが進んでいません。売上高が1000億~1兆円未満の大手企業では、未実施・実施予定なしは22.8%と約半分となっているのと対照的です。
このように約半数の中堅企業は、ヘルプデスク業務の改善が進まないままに、テレワークやDXの対応に追われ、担当者が疲弊している状態です。社内ヘルプデスク業務は売上・利益に直接関連するわけではありませんが、今後IT環境がDXにより激変する中で、利用者がスムーズに使えるためになくてはならない業務です。
これから戦略的なIT環境を構築するにあたって、ヘルプデスクがきちんと機能するように改善しておきたいところです。
社内問い合わせを管理していないため、改善もしづらい
社内問い合わせ対応の負荷増大は、以前から大きな問題でした。現在まで改善されずに残り続けているのは、すぐに改善しにくい業務だからです。
社内問い合わせ対応は、企業の規模が小さくなるにつれて「Aさんが詳しそうだから聞いてみよう」といったインフォーマルな「名もなき仕事」になりがちです。また急を要するものが多いために、メールよりも電話での問い合わせが多い傾向があります。
そのため、問い合わせ履歴を管理していないケースが多いのではないでしょうか。問い合わせ履歴がないと、FAQが整備できないため、属人化が進んでしまいます。対応に疲弊していて改善したいと思っても、どのくらいの時間を問い合わせ対応に費やしているのかが見えないため、経営層の理解を得にくいという問題があります。
とはいえ担当者は目の前の仕事に追われています。問い合わせ履歴を残すことが改善の第一歩だということは明確であるものの、履歴を残すところまで手が回っていないというのが実情です。
社内問い合わせ対応はシステム・サービス導入で解決できる?
お客様から「ツールを導入すれば、社内ヘルプデスク業務を効率化できますか?」とご相談いただくことがよくあります。顧客向けのサイトではチャットツールの導入がもはや当たり前となっており、社内向けについてもツールの導入が進んでいます。
代表的なツールとして次のようなものがあります。
【1】問い合わせ管理・FAQ公開ツール
利用者からの問い合わせ内容とそれに対する回答を一元管理するツールです。このデータをもとにFAQを整備して公開する、質問が来た際に過去の対応内容を参考するといった活用が可能です。また過去の問い合わせ内容やFAQを検索できる環境を利用者に提供し、自己解決率を高めます。
対話形式で質問に答えていくことで回答を絞り込む機能を備えるツールや、問い合わせ履歴とマニュアルから欲しい情報が検索できるエンジンを備えるツールもあります。
【2】マニュアル作成ツール
業務マニュアル作成を支援するツールです。問い合わせの回答でマニュアルのURLを提示すれば、回答作業が効率化でき、利用者にマニュアルを見て自己解決してもらうことを促進する効果もあります。
システムを操作するだけで、画面キャプチャ―の取得や操作説明のテキストの生成を自動で行うツールもあります。
【3】チャットボット
質問を入力すると、自動的に回答するソフトウェアロボットです。普段グループウェアでチャットを利用している場合、宛先をチャットボットにして質問すれば、回答がすぐに返ってくるため、利用者にとっても使い勝手が良いと言えます。チャットボットで解決できないものを有人対応するという形で、一次対応を任せるだけでも利用者の自己解決率は向上します。
AI機能を搭載して、問い合わせの意図を理解し、適切な回答に導くものもあります。
冒頭のツールを導入すれば社内問い合わせ対応が効率化できるかという質問に対しては、「効率化できる」が答えになります。ただし、社内ヘルプデスクの業務効率化に取り組むなら、ツールを導入する/しないにかかわらず、
・問い合わせ履歴のデータ化
・FAQの整備
・マニュアルの整備
は必要な作業となります。初期段階ではかなりの作業量になることは覚悟しなければいけません。
また、ツールは導入して終わりではなく、利用してもらうための改善が常に必要となります。利用率を定期的に分析して、利用を促進する対策を積み重ねる必要があります。
社員をコア業務に集中させたいなら丸ごとアウトソーシングする手も
ご紹介したように、社内問い合わせ対応の効率化には、ある程度の作業負荷がかかります。リソースに余裕がない場合は、社内問い合わせ対応を、効率化も含めて丸ごとアウトソーシングする方法もあります。
テレワーク対応、DX対応といった仕事が山積みの今、社員をコア業務に集中させるのは自然な流れです。さらに属人化の問題を抱える企業にとっては、外部の人材を投入することで知見の共有が期待できます。
社員が混乱することなく業務を進めるために、社内ヘルプデスクは必要不可欠な業務です。社員の期待に応えて問い合わせ対応の品質を上げつつ、効率化していきましょう。
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