システム導入時の社内マニュアルの作り方は?社内マニュアル管理のポイントも紹介

テレワークの普及により対面での教育機会が減り、文書でノウハウを伝えられるマニュアルの重要性が高まっています。しかしコスト増やリソース不足の制約もあり、マニュアル作成がままならないケースも多いのではないでしょうか。そこでシステム導入時のマニュアル作成のコツをご紹介します。

研修の機会が少ない現在、高まる社内マニュアルの重要性

新しいシステムを導入する際は、マニュアルの作成は不可欠です。どのように操作するべきかわからないと、利用意欲が低下する、生産性が低下する、属人化が進むといった問題が発生します。適切なマニュアルがあれば、社内ヘルプデスクへの問い合わせが減り、経験の浅いユーザーもスムーズに業務が実施できるため生産性も向上します。
特に最近ではコロナ禍の影響でテレワークが普及し、導入研修がしにくくなっています。日本生産性本部の「第6 回 働く⼈の意識に関する調査」によると、2021年4月~6月のOff-JTの実施状況は「勤め先から特に(Off-JTの)案内が無かった」が86.4%と大半を占めました。制度改定や新システムの教育でOff-JTの機会が多いはずのこの時期、やむをえずOff-JTを中止にした様子が読み取れます。
また最近3か月でOJTを行う機会の有無について質問したところ、OJTの機会があったという回答は2021年7月16.9%と低い数字でした。特にOJTの必要な新入社員にとっては厳しい状況にあります。そのため教える人がいなくても繰り返し見て学べるマニュアルは、重要な教材と言えるでしょう。
マニュアルの作成はナレッジの蓄積という効果も期待できます。気を付けるべき点や必要な知識を盛り込むことで、属人化から脱却でき、情報共有が促進されます。

システムマニュアルで必要な内容とは?(操作・業務・障害対応マニュアル)

システムを導入する際のマニュアルとしては、ユーザー向けにシステムの操作手順を記載した「操作マニュアル」、業務プロセス全体の作業手順を記載した「業務マニュアル」、情報システム部門向けにトラブル時の対応が記載された「障害対応マニュアル」があります。それぞれのマニュアルに盛り込んでおきたいことをご紹介します。

■操作マニュアル
・操作手順のフローチャート(複数の機能を操作する必要がある場合など)
・機能の概要・前提条件(「送り状印刷機能は発注処理をしたものが対象である」など)
・入力することで他の機能・データに影響がある項目について説明(「数量を入力すると在庫が引き当てられる」など)
・操作したことによる影響・制約について説明(「登録して一定時間経過するとキャンセルできない」「修正するためには別の機能の操作が必要」など)

■業務マニュアル
・必要な作業の一覧(例外的なケースも含めて作業を洗い出す)
・業務プロセス全体の作業手順のフローチャート
・作業の目的・内容(誰が・いつ・何を・どのような理由でやるのかを明確にする)
・重要な作業や注意したい点については例を明示(商品の陳列や電話応対の実例など)
・業務に必要な知識(業務上のルールや専門用語の意味など)

■障害対応マニュアル
・障害発生時の作業手順のフローチャート(エラーメッセージの確認、ログの確認、障害の切り分け、復旧、報告、原因分析など)
・各作業の手順のポイントを明示(ログの取得方法、障害の切り分け方、復旧方法、報告先など)

システムマニュアル作成のポイントとは?

マニュアルをどこまで詳細に作るべきかは、悩ましい問題です。大量のマニュアルを作成しても利用者の読む気が失せてしまう可能性があり、業務が変更になった時のメンテナンス負荷も無視できません。
そこでマニュアル作成でこれだけは押さえておきたいポイントをご紹介します。
・スモールスタートで作成
最初は重要部分を作成し、利用者の意見も取り入れながら必要に応じて範囲を広げていくと、マニュアルを作成する負荷も軽減できます。
・全体を俯瞰できるフローチャートを作成
機能や作業の担当者がそれぞれ異なる場合もあります。担当者を明確にして全体を俯瞰できるフローを作成しておくと、何か問題があった場合に、影響のありそうな他の作業担当者とコミュニケーションをとるのに役立ちます。また詳細のマニュアルにリンクすれば、検索しやすくなります。
・チェックリストを作成
現在の作業が正しく実施できているかどうか、利用者自身が確認できるチェックリストを作成します。「数量・金額が正しいかを受注参照画面で確認したか」「出荷日が顧客の希望する納期に間に合わない場合、顧客と」といったチェック項目を用意することで、ミスを防ぐことができます。

ツールを使って作成することも

利用者にマニュアルを読んでもらうには、「見やすさ」も大切です。図や画像・写真を活用してパッと見て理解できるような工夫が必要になります。さらに文字の太さ・色、写真の配置が揃っているだけでも利用者にとって見やすくなります。
見やすいマニュアルを最低限の労力で作成するなら、ツールの活用がおすすめです。ツールには、マニュアルの内容に応じた豊富なテンプレートが用意されています。テンプレートを活用すると、見やすいデザインを取り入れることができ、統一性が保たれるというメリットもあります。
ツールによっては説明したい画面を操作するだけで、画面キャプチャ―を自動で取得できるものや、スマホのカメラで撮影した動画・画像を編集し、そのまま公開できるものもあります。マニュアルを作成する負荷が軽減されると、今まで口頭で伝えられていたノウハウのマニュアル化が進む効果も期待できます。

使われるマニュアルにするためには管理が重要

「マニュアルは作成したけど、誰にも読まれない…」ということはありませんか。よくあるのがマニュアルを作りっぱなしで放置し、実際のシステムと乖離してしまうケースです。システムや業務フローは継続的に改良されるため、マニュアルもそれに応じて更新していかなければなりません。
マニュアルは作って終わりではなく、定期的に見直す必要があります。少なくとも年に1回~2回、マニュアルを更新していきましょう。
ある企業ではマニュアルコンテストを行い、各部署で作成された優れたマニュアルを発掘してマニュアル作成ノウハウを蓄積しています。このように従業員の注目を集める仕掛けを作り、マニュアル作成を活性化するのもひとつの方法です。
また別の企業では、顧客のリクエストやクレーム、実務担当者の改善提案を収集し、採用されたものについてマニュアルも併せて改訂しています。マニュアルは毎月20ページほど改訂され、更新の都度、朝礼で周知しています。このように業務改善とセットにしてボトムアップでマニュアルを見直していくと、メンテナンスの行き届いた、実務に役立つマニュアルになるでしょう。

社内で運用できない場合には、アウトソーシングも

「現在のリソースではマニュアル作成まで手が回らない…」という場合は、アウトソーシングを活用する選択肢もあります。マニュアル作成に特化し、技術・ノウハウを蓄積している企業であれば、高品質なマニュアルが期待できます。また、既存のマニュアルの効果検証や改善案の提案に活用することもできます。単なる作成のアウトソーシングだけではなく、ディスカッションをしながらマニュアルの形を決めていくプロセスを、専門家と一緒に進めていくサービスもあります。
生産性向上には、まず作業の見える化・標準化から。社外のリソースも活用しながら、効率良く社内マニュアルを作成していきましょう。

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